「えっ……」

門馬が、私の側に一歩近づく。

「俺、こんなんだけど、大事な物は見失いたくない。」

次の瞬間、私は門馬の胸の中にいた。

「市川……」

顎を持たれ、気づいた時には、門馬にキスされていた。

あまりの事に、目が大きくなる。


「……酔ってるの?」

「酔ってないよ。」

すると門馬は、キスしながらベッドに、連れて行こうとする。

「ちょ、ちょっと。」

「我慢できないんだよ。」

私は、廊下で門馬を止めた。


「勢いでするなんて、嫌。」

「好きな女を抱くのに、勢いがなかったら、無理だろ。」

門馬に”好きな女”と言われて、体が変になる。

「いいだろ……」

私は、頷くしかない。