情熱的に愛して

「ねえ、昨日の白石さんとはどうなったの?」

部長の視線に隠れて、私は本の陰から秋香を覗く。

「任せて。今度デートする約束しちゃった。」

「いいなぁ。」

本当だったら、私も丸森さんとデートするはずだったのになぁ。


「何やってんだよ。」

本の陰に埋もれているところを、門馬雪人に見つかった。

「早く次の書類も、手直ししろよ。」

「分かってるわよ。」

門馬雪人を横目に、パソコンのキーをガンガン叩く。

そしてまた印刷のボタンをクリック。

「行ったわよ。データ。」

「もう一枚、残ってるだろ。」

そして私は舌打ちをしながら、また次の書類を直した。


「そう言うところが、社長の奥さんまでもう一歩なんだよ。」

門馬雪人は、また毒を吐きながら、印刷機に向かって行った。