「勿体無いよ!」

「えっ!?」

私は、名前も知らない店員さんに、叫んでいた。

「そんなに一生懸命仕事できるのに、ブランドの方針だけでやる気を無くすなんて、勿体ないよ!」

「市川さん……」

「今度、私新しい企画を考えるんです!それこそ、こういうオフィス街のニーズに応えた新ブランドを……」

「はい、スト―――――ップ。」

後ろから門馬の声が聞こえた。

振り返ると、門馬と店長がこっちをジーッと見ている。

「なに?門馬さん、本当?」

「いや、まだ企画の段階でして。そして市川。ちょっと来い。」

私は門馬に引きずられるように、お店の裏へ連れて行かれた。


「おまえ、何やってんの?」

「えーっと……」

「まだ企画の段階の事、店員に話したって、仕方ないだろ。」