「ごめんなさい。本社の人にこんな事言ったら……」

「大丈夫です。」

私は、ニコッと笑った。

「だから店長も、やる気出ないんですかね。」

「店長が?」

頭の中に、ポッと店長の顔が浮かんだ。

「店長って昔、ここのデザイナーだったじゃないですか。ここに来た時は、店に立って接客していたのに、自分がデザインした服が売れないところ見て、耐えられなくなったんじゃないですかね。だんだん、店の方に出なくなったし。」

なんだか、切なくなった。

私と門馬は、半分冗談で『飛ばされた?』なんて言ってたけれど、もっと深い理由が、店長にもあったかもしれない。

「そんな店長を見ていると、お店の売り子達もだんだん、やる気なくなってきちゃって。」

私は、手をぎゅっと握った。