情熱的に愛して

「なんかあったの?」

私は、息をゴクッと飲んだ。

「実は私、この会社に入社して以来、店員さんの仕事やった事ないんです。今回の企画の為に、1度経験してみたくて。」

苦しい言い訳だったけれど、大丈夫かな。

「……分かった。いいよ、1時間くらいなら。」

「ありがとうございます!」

私は早速店員さんから、IDカードを貸して貰った。

「頑張ってね。」

「はい。」

店長は奥の方に、戻って行った。


私は、小さく『よしっ!』と言うと、近くにあった洋服を畳み始めた。

時間はちょうど、昼休み。

周辺にある会社のOLさん達が、昼食の途中に、このお店に立ち寄る時間だ。

「いらっしゃいませ。」

私は大きな声で、お客様を迎えた。