情熱的に愛して

「門馬が言ったのは、店を潰すって言ったじゃない。私の方は、あくまで、新しいブランドを……」

「はいはい。」

門馬はそう返事をすると、急に立ち上がった。

「どこ行くの?」

「風呂。」

私の目の前を通り過ぎて、門馬は部屋のドアに、手を掛けた。

「……いいアイディアだと思うよ。」

「えっ?」

振り返った門馬は、少しだけ微笑んでいた。

「新しいブランド、成功させような。」

「門馬……」

部屋のドアが、ガチャッと閉じた後も、私は企画書に戻る事ができなかった。


― いいアイディアだと思うよ -


門馬の言葉が、頭の中をリフレインしていたからだ。

ふふん。

奴も、私の力がだんだん、分かってきたじゃないか。