「ああ琴さんが来た」

五十嵐教授は
ベージュのグラデーションの入った浴衣に
深緑の帯を締めていた

柏木くんは紺色の浴衣に白い帯

「…お待たせいたしました!
…というか
二人とも浴衣持っていたんですか」

「まぁー私はたくさん持っています!
知り合いに和装しか着ない奴がいるのでね」

「俺は、買った」

「なるほど…じゃあ、行きましょうか」

カラカラと下駄がコンクリートを跳ねる

気づいたら元々着ていた服も靴も
浴衣と下駄に変わってしまっていた

…財布は巾着に入っている

本当にわたしは寝ぼけていたのだろうか

催眠をかけて強盗する奴だったのか…?
でも服も靴も安いものだし
財布くらいしか重要なものは無かった

うーん…一体あのお姉さんは何者なんだろう

こういう時に限って師匠はいない