「琴さん、一緒にお祭り行きませんか」

歴史研究科の研究室は
大型すぎるエアコンの風で
冬のように冷え切っていた

「…はあ、お祭りですか」

「いやーね、歴史研究科でどうかなぁと」

お祭りに誘ってきたのは歴史研究科の准教授の五十嵐 長政(いがらし ながまさ)

別の学科の女子はダンディだとか
おっさんだとか色々な評判で
盛り上がっている

わたしに言わせれば
(正確には歴史研究科の人に言わせれば)
とにかく変人の極みである

何が変人かと言うと…

「いやさあ、今出店の歴史を調べてんのよ
今度の課題を"イカ焼きと歴史"にしたらすごく面白そうじゃ無い?」

…こういう、学生を困らすのが大好きな所だ

「わたしは良いですけど…だいたい今
この研究室には3人しかいませんけど
お祭りって今日ですよね?」

ふふーっと五十嵐教授が微笑む