師匠はあっ!と
わざとらしそうな声をあげて笑った

「これでは僕のトップシークレットが
バレてしまいますね」

「でもこのお屋敷わたしがいくら見積もっても足りないくらい古く見えますけど」

「冗談です
この屋敷は僕の…"師匠"に頂いたのです」

「師匠にも師匠がいたのですね」

「僕は覚えていませんけど
稲荷さんが言うように
僕が"師匠"と呼ばせたのなら
それは僕の師匠に対する
憧れがあったのかもしれませんね」

「なるほど」

師匠からもらった麦茶を飲む
書斎が涼しいおかげか思ったより冷たく感じた

表情に出ていたのかもしれない

「美味しいですか?稲荷さん」

わたしはゆっくりと麦茶を飲み干す

「大変結構なお点前でした」