師匠の書斎はすごい

沢山の本の山に囲まれていて
そのどれもが古本だ

窓が1つしかなく壁は本で出来ている

焦げ茶色のローテーブルには
怪しげなお札だとか昔の瓶や
なぜかフラスコまで置いてある

黄色い原稿用紙とインクは
いつも師匠が何か書きつけているものだ

「窓一個なのに風が吹いてる」

首に優しく風が抜ける
冷たいというわけでは無いけれど
たしかにここの方が涼しい

「僕もいいところに
書斎を作ったなぁと思いました」

麦茶の入ったグラスを2つ師匠は持ってきた

「あ!骨董市の!」

1つをわたしに差し出す

「もう出してもいい頃だと思って」

切り込みの入ったグラスは
書斎の小さな光までも反射して
きらきらと光っている

「書斎を作ったと師匠は言いましたけど
師匠はこんな古いお屋敷を建てたのですか?」