「誰にだって調子のでない日はあります」

「…いつもこうなってしまう」

「そんなこと言って
ゼミのテストはいつだって1位だし
この前もなんか表彰されていたでしょう
稲荷さんは本当に頑張り屋さんですね」

「師匠に褒められるために
やっているんです」

「嬉しいことを言ってくれます
親御さんにもちゃんと報告していますか?」

言って…ない
全然実家に帰っていない
ここの居心地が良すぎて
最近は自宅アパートに帰るのも
億劫になっている

「ちゃんと帰らないとダメですよ」

優しく叱られる
流石に九十九邸に泊まったことはない

友達…だから

「そういえば、何かあって呼んだのですか」

「ああ、そうだった!
師匠見てください!猫が」

指差す先にはハチワレの猫がいる