「ちょっとは信じてくれた?」

苦笑いを師匠は浮かべる

「…まだ、諦めてないです
だいたいこれも作り話かもしれませんから」

「本当に稲荷さんは強情だ…
あ、そうそう
何か欲しいものはありますか?
人形を見つけてくれたお礼に
何か買って差し上げますよ」

「本当ですか!えーっと…じゃあこれ!」

日本人形の近くにあった
ガラスで出来たコップが並んでいる

1つ1つに切れ込みが入っていて
キラキラと輝いている

「夏に良さそうですね
何個欲しいですか?」

「2つ!
わたしと師匠のやつ」

師匠は一瞬キョトンとして笑った

「稲荷さんは一体いつまで
僕の相手をしてくれるんですか」

「不服ですか?」

「いや、嬉しいんですよ
良い友達を持てて」

友達、友達か…

「どうしました?」

「えっ、ああ、いいえ」

「じゃあこれを2つ頂けますか」

わたしは今何を考えていたんだろう…