「自分が精力を吸い取ったせいで
依頼人が危険なことを
座敷わらしは知っているの?」

師匠は悲しげに首を振った

「名称が付くほど立派な妖怪といえど
子どもですから
依頼人はそれを知って欲しくないのですよ
お互いが大好きだから」

「じゃあ…」

「そう、依頼人は死ぬところを
座敷わらしに見せるのが嫌なんです
死んだ後、依頼人の住む家は
取り壊されてしまいます
そうなると座敷わらしの居場所も
無くなってしまう」

師匠は店主にお金を払った

「師匠は座敷わらしを追い出すために
人形を買ったのですか」

「僕の知り合いの家に
座敷わらしをご引っ越しさせようと
思っています
なんせ子どもなので
気をひくおもちゃが必要だったのですよ」

「じゃあ、座敷わらしはひとりぼっちにならなくて済むのですね」