暖かくて優しい風がそよぐ

今日は日曜日
師匠と骨董市に行く日だ

「あったかいですね〜師匠」

「春麗らとはまさにこのことですね」

「晴れ続きで鯉干からびないといいなあ」

「うちの鯉はそんなにヤワじゃないですよ
第一、稲荷さんがお世話しているんですから
病弱でもないですね」

「最近はまるまると太って来ましたからね」

「食べさせすぎは良くないですよ」

まもなくして骨董市の立て札が見えた

「着きましたね
ところで師匠は一体何を買うんですか」

ニヤリと笑って言う

「お人形です」

「お人形…」

怪訝そうな目を向けると師匠はまた笑った
糊の効いたシンプルな着物が風に揺れる

「座敷わらしにあげるんですよ」

「また妖怪の話」