頭がクラクラしてたところまでは覚えている

目が醒めると真っ先に青々とした畳が見えた

畳の上にはお盆があり、目を凝らして見ると
麦茶が入ったアンティークなガラスの茶碗がある

たしか…わたしはあのまま…

「ああ、起きましたか」

声はわたしの頭の後ろから聞こえた

ぐるりと体勢を変えると白く細っそりとした足が見えた

「具合はいかがでしょうか」

顔を見ようとすると眉毛に氷嚢が乗っていることに気がついた

「あの…わたし…なんで寝ているのか」

「暑さで倒れたのを、僕が介抱したんですよ」

頭がだんだんとはっきりしてきた
ぼんやりとしていた相手の顔が認識できる

それはそれは美しい顔立ちの男性だった

白い肌に伸びた鼻筋と細いけれど綺麗な目
血の気の少なそうな薄い唇

その男性は困ったようにわたしを見ていた