師匠に聞いてみよう
恋とはなんなのか

最後の油揚げを食べきって
わたしは午後の授業に向かった

ー夕方 九十九邸にてー

「師匠、鯉って食べると泥臭いんですよ」

師匠は目を丸くして言った

「稲荷さんは鯉を食べる気だったのですか」

「いや、今日大学でちょっと調べて」

「稲荷さんにお世話してもらえるとは
鯉もさぞかし嬉しいことでしょう」

師匠はゆっくりとお茶を飲んでいた

「ねえ師匠」

「なんですか稲荷さん」

「恋ってなんですか」

「鯉は庭の池にいますけど」

「恋愛ってなんですか」

ゲホッと師匠がむせりはじめた
気管にでも入ったのだろうか

「ちょっと、大丈夫ですか」