「琴葉さん考え事ですか?」

「いやー鯉に夢中になってて」

「はぁ、なるほど
そんなにステキな鯉なら
今度写真撮ってきてくださいね」

「柏木くんは良い人だなぁ
話聞いてなくてごめんね
もう一度聞かせて」

「ああ、いや、もういいです
彼女との平行線な関係も悪くないって
なんとなく思い始めました」

「そっか…」

柏木くんは大学特製のちくわパンを
食べ終わると立ち上がった

「じゃあまた
祖父が鯉を飼っているので
何か面白い話があれば聞いてきますね」

「うん、ありがとう」

ひらひらと手を振って柏木くんはいなくなった

鯉、コイ、恋…

時折考えるけれど
やっぱりわたしは恋する相手なんて
いないし出来そうもないなぁ