「買ってきたんですか?」

師匠はしゃがんだ

「退治のお礼に貰ったんですよ」

「また妖怪の話?」

師匠はどこからともなく鯉の餌を出して
わたしに手渡した

「この鯉は幸運を連れてきてくれるとか」

師匠は得意げに微笑んで書斎に戻って行った

ー次の日 大学にてー

「琴葉さんこんにちわ」

大学図書館で本を読んでいると
同じゼミの柏木くんが話しかけてきた

「柏木くん」

「何の本を読んでるんですか?」

「鯉」

「コイ?」

「うん、鯉」

「俺琴葉さんは恋とか
興味ないのかと思っていました」