「ここは一体何処だろう…」

高校3年の夏、わたし稲荷琴葉は知らない土地で道に迷っていた

たしか、塾の帰りに電車に乗って、そのまま寝過ごして終点で降りて…

閑静な住宅街で少し緑の混じった場所は、じりじりと照りつける太陽のせいで酷く暑かった

午前中で塾の授業は終わったのに、もう日が落ちかけている

それなのに暑い…

こうやって歩き出してみても意味はないのに
どうして住宅街まで来ちゃったんだろう

「暑…」

フラフラと道を辿ると一軒の大きな屋敷が見えた
そこは木製の塀が連なっていて、わたしの家の2軒分以上の敷地があるように見えた

荘厳な玄関は木の門があった

すると、豪華な庭先で背の高い人がこっちを見ていた

やばい!覗きだと思われてしまう
慌てて引き返した瞬間に

わたしは意識を失った