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広々とした校庭が下駄箱へ繋がる道の脇に広がっている。
ここ、私立マナリア学園は誰もが知る超名門校である。
そこに私、霧乃 夜音は合格をしたのです!
合格通知が来た時は嬉しさのあまりその日1人で抹茶デザートを食べ尽くしてきました。
長い通路の先にはマナリア学園の寮の建物と本校がそびえ立っている。
白を基準にしてあり、透き通るように透明な窓ガラスにひかりが反射している。
私は下駄箱に着いて自分の名前の下駄箱を探した。
あった。
私は1―A…つまり4つのクラスの中の最高成績者の集まる組だ。
勉強は中学の頃からできる方だったけれど、ここマナリア学園に入るために日々努力を積み重ねていた。
少しの間感動に浸っていると、ホームルームが始まるチャイムがなった。
私は我に返り急いで上履きに履き替えA組へ向かった。
初日から遅刻はごめんです。


A組は特進クラスではあるが、階に問題があると思います。
何故いちいち3階に作ったのか分からない。
そのせいで遅刻になりそうになりました。
でも今はそんなことより大事なことがあります。
それは…
夜音は辺りを見回した。
男子、男子、男子、男子、女子、男子…
この現状はどういうことでしょうか?
すぐさま私は担任の瀬高 雅也(せだか まさなり)先生に質問した。
「あー、そう言えばそうだな。なんかこの学園昔男子だけの学園だったみたいでよぉ。それの名残ってやつじゃねぇか?」
なんですかそれ。
聞いてませんよ、私は同い年のキャピキャピの女子達と仲良くランチを共にしたりおしゃべりするのも夢だったのに…
これじゃあまるで集団リンチじゃないですか。
夜音は小さなため息をこぼした。
すると、
「霧乃さん、だよね?」
隣で自分を呼ぶ声が聞こえた
誰ですか。今は絶望に浸っているのですが…
そう思いつつ渋々隣を見上げると、そこにはまさに現役JKと言わんばかりにスカートを短くし、髪の毛は茶色がかった黒のポニーテールの可愛い女の子が立っていた。
「あたし、金城 麻綾(かなしろ まや)!よろしく!」
キャピっとウィンクしながらその娘は挨拶してきた。
「霧乃 夜音。」
一応礼儀として自分の名前を答えた。
「夜音ちゃんかー、可愛い名前だね!」
「ありがとう。そっちも可愛いよ、麻綾ちゃん?」
「キャー!いきなりちゃん呼びでよばれちゃったー!疑問形な所もかわいいー!」
何故か妙にテンションが高い。
だけどA組にいるってことはこの人も頭は確かなはず…だけ、ど。
「なんかこの学園女子少ないよね〜、私地味に女子目当てできたんだけど。」
その発言に夜音は少し驚いた。
女子…目当て?
「麻綾ちゃんもしかして、そっち系の人…ですか?」
「ん?あー!違う違う!ただ色白黒髪美少女とか、ツンデレ美少女とかに会ってメイドの服着せた色々言わせたかったりしただけだよ!」
ニコォっとキラキラスマイルで麻綾は言った。
あ、この人変態だ。
その後、夜音は麻綾の事を警戒するようになった。


その後、簡単にクラスでそれぞれ自己紹介をした。
麻綾が自己紹介する時、少し気になった夜音は耳を傾けた。
「じゃあ…次は金城。」
「はい!金城 麻綾です!趣味は可愛い女の子の写真を撮る事です!特技はお裁縫です!お願いします!」
ニコニコ笑いながら喋っているが、趣味の部分は若干引きそうになりました。
そして男子の自己紹介も様々だった。
「趣味は将棋と掃除です!」
「特技は…あるか?いや、んー…」
そして遂に私の番が回ってきました。
「次、霧乃。」
ガタッ
椅子を立ち上がるとクラス全員の視線が自分に注がれていることに気づいた。
心臓の鼓動が早くなる。
それに気づかれないように、私は自慢の無表情フェイスを貫いた。
「霧乃 夜音です。趣味はありません。特技は家事ならほぼ全般得意です。好きなものは抹茶の物ならなんでも好きです。」
「キャーーー!私の娘はほんと可愛いわー♡」
次の瞬間ドッとクラスが笑いに包まれた。
「お前の娘じゃねぇだろ、ハハっ!」
「プッ…娘って、あははは!」
少し恥ずかしい思いもしたが、麻綾のおかげで緊張からほぐされた感じがした。


その後は各自寮に戻って荷物をまとめたり一緒に生活する人に挨拶することになった。マナリア学園の寮は通常一部屋2人で使うのがルールだが、男子寮には3人部屋もあるらしい。
私は麻綾と途中まで一緒に移動した。男女ともに寮へ入る時は自分の学生手帳を入口のセンサーにかざすことになっている。
なんだか近代的だなと夜音は思った。
入口を通ると部屋へ通じる道が続いていて途中て二手にわかれる構造になっている。そして、寮の中央にはリビングがあってテレビやソファなどの快適に生活出来る用品が備わっていた。
夜音はさそっく自分の名札が、書いてある部屋を探した。
見つけた部屋はリビングから少し離れた白い扉の部屋だった。
夜音の名札の下には 河菜 涼(かわな すず)と言う名札があった。
同部屋の人でしょうか?
そう思いつつ部屋を開けた。
部屋の中はレースのかかったベットが2つその脇にひとつずつタンスと机が置いてあるシンプルな部屋だった。
1つの机には荷物が置いてあった。
河菜さん、もう来てるのでしょうか?
そう思いつつ空いてる机に荷物を置いた。
寮の各部屋にはシャワールームも着いていて、小さな冷蔵庫もあった。
食事などは寮をでてすぐ突き当たりに、ある食堂で済ませるようにと聞いてあった。
もちろん、部屋で自分で買って食べるのもありらしい。
私にはそれよりも行きたいところが2つあった。そして1つ目の場所へ向かうため荷物からあるセットを持って寮をあとにした。


寮をでて食堂とは別の方向へ少し進むと体育館の半分位の建物が見えてきた。
あの建物はシャワールームとは別にある大浴場である。
そこは本物の温泉見たくのれんやら瓶ジュースの自販機があったりしていて、お風呂が好きな夜音にとってはまさに天国だった。すぐさま女湯の方に入って着替えていると
バシャバシャ
カコン…バッシャーン
大浴場の方からお湯をかける音が聞こえた。
夜音は不思議に思いつつも髪を結び大浴場へと入っていった。