蘭花は顔を上げた。

「勿論です。闇の魔術は必ず術者に災いをもたらす筈です。ましてや死霊魔術だなんて…菊花によくない事が起こるに決まっています」

「…しかし菊花には、闇属性の高い素養があるのであろう?」

「それでもです」

蘭花は頑なに拒絶した。

闇は悪。

闇は禁断。

闇は邪法。

そう決め付けてしまっている。

「……」

俺はガシガシと頭を掻いた。

「蘭花…お主は潔癖すぎるのかも知れぬな…」

「え…?」

蘭花が目を丸くする。

「どういう…意味ですか?」

「いや…何でもない」

俺は静かに目を閉じた。