パシン

痛いんですけど。

「あんたがいるから司君に振られたんだけど!なんなのよ!幼馴染だからって司君に甘えないでよ!」

いやいや、私、幼馴染でも司お兄ちゃんに甘えた試しがないんですけど。
しかもこき使われてますよ

理不尽なんですけど。
なんでほっぺた叩かれなきゃいけないんですか
しかも振られたのが私のせいとか言ってるし、
自分に魅力がないからなんじゃないんですか?
1つ言いますが、
あなたのように毎月彼氏が変わるような女とは付き合わないんですよ。
司お兄ちゃんは、あなたのようなタイプの人間嫌いなんです
数多けりゃモテてると勘違いしちゃってるみたいで、ダメですよ先輩?

まぁこんな事口に出して言ったら何されるかたまったもんじゃない。

ところでここ。空き教室のベランダです

はい、私の後ろには手すりはあるけど割と危険な状況。
ドン
肩思いっきり突かれた
そのまま弾みで

視界に広がるのは憎たらしいほどに明るい青い空

突き落とされました。
一瞬何が起きたのか、わからなかった


いやー、あの教室3階だったんだよなー
あの高さからじゃ、
死ぬか、奇跡的に生きるか、

心地よい風がわたしの背中を撫でる

トサッと落ちた
生垣の上だった
生きてる、、、
手を握ったり開いたりして感覚を確かめる
起き上がると背中に痛みを感じた
背中から落ちたからなー、

制服、代えあったっけ、
スカート破けちゃったなー

私が落ちたベランダに視線を移すが、
そこにはもう誰もいない

にしても、ここ、、、
中庭?
周りは校舎がぐるっと囲んでいる
空を見上げると、
悠々と白い雲が泳いでる

桜もはらはらと散っていく


これだから恋愛関係ってこ、男が絡むとろくな事ない。
めんどくさい

桜の木に寄りかかり座って目を閉じる

死人の血を吸って花びらが染まるから
人間は桜に引き寄せられてるとか言うけど、
すごい魅力を感じてしまう


なんて考えていると、眠気に襲われた



何か、暖かいものが頬に触れた
なぜか懐かしい香りを感じ、温もりに擦り寄り、意識を飛ばした

「ん、、、寒い、」
まだ4月。
黒タイツ履いてる訳でもない
朝の天気予報じゃ今日は10℃前後
寒くないわけがない

でもなぜか足がそんなに寒くない、、、足元を見ると、
学ランが1枚
誰の?司お兄ちゃんのじゃないし、
でもあの、懐かしい温もりは、誰?

「あー!いたいた!陽菜!
もう探しちゃったじゃん!」
「リサ、」
もう1人の幼馴染リサ
「ちょっと!なんでそんな怪我してんの!?保健室行くよ!」
腕を引っ張られ保健室へ
「あら?桜川さんどうしたの?傷だらけじゃない!」
「、転んだ。」
「、、、今月3回目よ?」
そう言いながら治療してくれる先生はほんと優しい
「陽菜?ホントのこと言いなさい
転んだとか言うんじゃないよ?」
ピキピキと怒りながらわらうリサが怖いです
「3年の先輩に呼ばれた、」
「なるほど、突き落とされたの?」
「、」
「そいつぶっ飛ばしてくるから特徴教えて」
「だ、だめ!リサが停学になっちゃう!」
「、陽菜、、、」
「あら?絆創膏貼ってあるわね」
ツンとほっぺたつつかれた
「絆創膏?リサが?」
「いつ私がつけたんだよ、」
「じゃあ誰が、、、」
ふと、ずっと学ラン握ってたことを思い出した
「そう言えば、誰の学ラン握ってるの?」
「誰のかはわかんないんだけど、
足にかけられてて、」
「彼氏?」
「彼氏いないもん」
「まぁ、心優しい紳士な人がいたのね」