部長のかわりを密かに勤めている彼女を、俺は純粋にすげえと思う。

 詩織のお陰で、いつも物事が進みやすい。ある程度案を作っておくからだ。

 課外授業で使用する道具も、発表会の原稿も、彼女なしであったら、今ごろ部長がキレて大変なこととなっているだろう。実際、詩織がわざとやらずにいたとき、部長が苛立つ雰囲気でまわりをドン引きさせたことがある。

 無理にやらなくてもというのだが、詩織は「やらないと自分たちが大変になる」といっていたのは正論だと思った。時間に余裕がなくなると、みんなしんどい。




「課外授業はさ、二年生に引き継ぐ予定もあるから、道具も作らせた方がいいんだろうって思うんだよね。だから今度、放課後集まってもらおうかなって」

「でも使い回しでいいって部長らは言わねぇか?」

「あー、確かに」


 
 作ったものの中には、案外長く使っているものもある。同じことをやっているのであたらしく作り直す必要はあまり無いものもあるが、ボロボロになるし、新しい内容にしないと飽きるだろう。

 作るのが面倒だからいいじゃん、と平気で部長あたりは言いそうだと俺は思うし、詩織も思っているに違いない。

 突っ伏していた顔をあげ、悩んでいる。