時計が8時10分を指したところでチャイムが鳴った。

それと同時に教室には見知らぬ人が入ってきた。

おそらく先生だろう。

私達は全員廊下に整列し

体育館へ移動した。

いよいよ入学式が始まる。

体育館に入ると先輩達の拍手の音が聞こえる。

列に並んで私も先輩達の座っている前を通ると声が聞こえてきた。

「今通った子可愛くない??」
「それな!あたしも思った!!」
「うわ!今年の1年美少女いるわ」
「やべー!かわいー!特にあの子!!」

私が通ったところでそんな声がした。

外見しか見れない人は大嫌い。

心の底から嫌悪感がした。

私の顔はあの人によく似てる。

私はあの人が嫌いだ。

私のことを見てくれない。

声をかけても薄っぺらい返事しか来ない。

私に愛をくれない。

お金だけが積もっていく。

私はいらないって言ってるのに。

もうたくさんだよ。

全部お金で解決しようとしないでほしい。

そんな感情を抱きながら入学式を終えた。

担任の先生は女の人だった。

メガネをかけて小柄な可愛らしい人だった。

教室に戻ると自己紹介が行われた。

私は出席番号が早いからすぐに出番が来てしまう。

前の人の紹介が終わり、私の出番が来た。

「片谷希咲です。北小出身です。1年間よろしくお願いします」

もちろん誰かとよろしくするつもりは無い。

全員表面上だけの付き合いしかしないだろう。

友達を作って裏切られるくらいなら作らない方がマシ。

私は一度失敗した。

友達だと思ってた人に裏切られたことがある。