「すずめ」と、ミケは楽しそうに言う。
 
「めんぼう」と、私は素っ気なく言う。
 
「んー、うし」と、ミケは思いついたように言う。

「し……しずく」と、私は少し間を空けて言う。
 
「く……く……くま!」と、ミケは上を見上げながら言う。
 
「ま……まくら」と、私は視線を横にしながら言う。
 
「ら、ら、ら、らっこ!」と、ミケは人差し指をたてて言う。
 
「こ……ここあ」と、私はミケを見て言う。
「あずさ」と、ミケは即答した。
 
「……」と、私はすぐに何も出てこない。
思いついた言葉を言えば、『10単語しりとりをしないと出られない部屋』と書かれた扉の開く音がきこえた。
 
「さみしい」


ミケが少しだけ、さみしそうな顔を見せた。







ミケと別れるまで、あと20部屋。