扉の先にあったのは、相変わらずの真っ白な部屋。


そして、部屋の真ん中には、真っ白なテーブルが一つ。
その上には、黄色のヘルメットと赤色のピコピコハンマーが一つ。

その道具を見て、私はこの部屋で何をするのか、一瞬で察した。
正面の扉を見れば、予想通りの文字が綴られている。
 

『叩いて被ってじゃんけんぽんをやらないと出られない部屋』
 

そんな文字を見て、ミケは「くだらねー」なんて、ケラケラと笑う。
そして、私の方へと顔を向け、視線が合う。
私が小さく頷けば、早くやってしまおう、という意図を察してくれたのか、ミケも頷き、中央へと歩く。
 
「んじゃ、いくぞー。じゃーんけーん」
 
ミケのかけ声に、私は「ぽん!」と手を振り落とす。私はパー、ミケがチョキ。その結果がわかり、私はヘルメットへと手を伸ばす。ヘルメットに触れた瞬間、私の頭に、ポカンと間抜けな音がした。
「はい、俺の勝ち」
そうミケが言った瞬間、扉が開く。そんな扉を見て、私はテーブルに乗った、ピコピコハンマーとヘルメットへと視線を移した。
 
「なに梓、もう一回やりたい?」
「別に。早く進もう」
 


私がそう言って、ミケの少し前を歩く。後ろで、ミケが喉を鳴らす音がきこえたのは、きっと気のせいだ。