そう言い残して風のように去っていった"王子様"。







「ええええ?!振っちゃったの?!」



教室に帰るとつむぎの落胆の声と、何故だかクラスメイトの視線。




「先輩を追っかけて行ったから、こんな珍しいこともあるんだ!今度こそって思ったのに!」



「……。」



「わかってる、ごめん変なこと言って。」



「いや、いいの。」



親友にこんなことを言わせてしまってるのには、私の過去のトラウマが関係してたりするのだけど……


それは後ほど。



「そりゃ過去のこともあるけど、まず根本的にお互いの名前も知らないわけだし…」



「……ん?奈菜名前知らないの??」



「え、うん」



「は?!ほんとに知らなかったんだ王子様の
こと。ギャグかと思ったわ。」



「で、なんて名前」



「成瀬樹先輩!ほれ!名前もかっこいい」



ほんと名前までかっこいいな……



そりゃモテるわけだ。