涙が頬を伝う感覚で、目が覚めた。 いつの間にか日が落ちて、部屋の中は真っ暗になっていた。 「…あたし、」 どれくらい眠ったんだろう。 重い身体をゆっくり起こそうとした瞬間、人の気配を感じてハッと飛び起きて横を見た。 「…蓮」 蓮の横顔が、窓から差す月明りに照らされている。 兄、とつけ忘れたのはきっと そんな蓮の表情があまりに妖艶で 綺麗だったから。