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斉藤くんは、

『いつか返事を聞かせて』

そう言って帰って行った。


好きだと言われて嬉しくない訳じゃないの。

応えられる事はできなくても、こんなあたしを見てくれた事が有り難いと思う。


あたしは斉藤くんが帰った後も、何となく外に立っていた。


―気まずくならないといいな。

あまり関わりが無いとはいえギクシャクするのも嫌だ。



急に、後ろでドアノブを回す音がした。


「百合、何してんの」

「あ…昴おはよ」

身仕度を整えた昴。

「昨日はごめんね。起こしちゃって」

眠そうな顔の昴に申し訳なくなる。

「いいよ。あれからちゃんと寝た?」

「うん、ばっちり」

ピースをして見せる。

ははっ、と昴が笑って頭をグシャグシャ撫でてきた。