月と星


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「…ん」

カーテンの隙間から差す光で目が覚めた。

「…寝過ぎた…」

時計を見るともうお昼の11時。

「ふあー…」

あくびをしながら階段を降りてリビングに向かった。


家の中はとても静かで、誰か居る気配もない。

―昴もあたしのせいで今日はずっと寝てるかも。


申し訳なく思いながら、ソファに座った。

テレビをつける気にはならずそのまま目を閉じる。



…蓮兄は、まだ帰っていないのだろうか。


また葵さんの顔が頭をよぎる。

色白な肌に綺麗な髪。


「…蓮兄にぴったり」

おまじないをかける様に、声に出して言ってみる。

「ほんと、お似合い」


・・涙がでる程、お似合いだよ。



「百合には関係ない」



不意に、蓮兄に言われた言葉を思い出す。

関係ない

そんなの、わかってる。


蓮兄があたしを妹としてしか見ていないことも
これから先も何も変わらないという事も。

全部、全部わかってるはずだったのに。


あの日蓮兄から改めてその現実を突きつけられた気がした。








ガチャッ