無我夢中であたしは家を飛び出した。

葵さんの魅力的な笑顔が頭から離れない。



出て行く時、蓮兄の声が聞こえた気がしたけれどあたしは振り向かなかった。





本当に伝えたい言葉は他にあるのに、それを口にする事も


…涙の理由を知られる事も



あたしには許されないから。




だからこういう状態になってしまったら、あなたのいない場所で泣くしかないの。





ねえ、


どうしたらこの想いは消えるの?






…あたしは、あなたの妹で





あの人は、あなたの恋人




あたしの、


あたしの兄の恋人。