外はまだ九月だというのに、少し肌寒い。 もうすぐ蓮兄に会えると思うと胸が弾んでしまう自分をたしなめる。 「蓮兄。」 小さな声は、空気に混じり溶ける。 「…あたしの、お兄ちゃん。」 声は溶けて消えるのに。 あたしのこの想いは、 一体どうしたら消えてくれるの。 ギュッと手を握り締め、空を見上げた。 澄んだ蒼い空。 あたしは、蓮兄の側にいていいのだろうか。