薄茶色の瞳に吸い込まれそうになる。
「当たり前だよ・・」
蓮兄は少し笑って、また目を閉じた。
「俺、もう子供じゃないのに」
「ははっ、そだよね・・」
いつになく弱々しい蓮兄が心配になる。
「・・学校、サボろうかな」
「ばーか、ちゃんと行きなさい。大丈夫だから」
蓮兄が叱り口調になる。
「・・はーい・・」
あたしは仕方なく玄関に向かおうとした。
「百合?」
また蓮兄に呼ばれて振り返る。
「なに?」
「・・早く帰っておいでね?」
顔が熱くなる。
ぎゅっと、胸が苦しくなる。
「うんっ・・」
そう返事をして、あたしは逃げるように家を出た。

