「・・図星?」

蓮兄は口をとがらせる。

「俺、風邪ひいたのー」

そう言いながら、またソファーに倒れこんだ。



-もしかして、昨日冷えちゃったかな?


そう思ってもなかなか口には出しづらくて。


「何、風邪ひいたの?熱は?」

昴が心配そうに聞く。

「微熱程度かな、大丈夫大丈夫」

言葉とは反対に、蓮兄は少し辛そうな表情をしていた。

「ならいいけど、俺今日もバイトだし帰り遅いよ?百合はなんかある?」

「あたしは何も。学校終わったらすぐ帰るよ」

軽くあたしのせいだし。

と、心の中でつけたした。


「じゃ俺もう行くから」

昴が鞄を掴んで慌しく出て行った。

「蓮兄、あたしもそろそろ行くね?すぐ帰ってくるから」


目を閉じて寝転んだままの蓮兄に声をかける。

「・・百合、」


微かに蓮兄の唇が開く。


百合、という声に胸が熱くなる。


「なに・・?」

身動きがとれず、蓮兄を見下ろしたまま答える。

「・・心配?」

うっすら目を開けて蓮兄があたしを見た。