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「遅刻ー!!!」
家中に響き渡りそうな声で、昴が叫んだ。
「・・昴、うるさいよ~・・」
まだぼーっとしてるあたし。
朝は苦手だ・・。
「お前も早く準備しないと遅れるよ?」
昴に急かされてあたしの頭もようやく目覚めだした。
「朝から騒がしい・・」
「わっ、蓮兄いたんだ」
ソファーに寝転んでいたらしい蓮兄が顔だけ覗かせる。
「おはよう。百合」
・・優しい笑顔に、あたしの心臓は言う事を聞いてくれない。
お願い、静まって。
「蓮兄、おはよう!!」
・・あれ?
蓮兄がきょとんとする。
・・ちょっとテンション間違えたかも・・。
「ははっ。百合元気すぎー」
いいことだけど。
そう言いながら蓮兄はまたソファーに寝転んだ。
「・・蓮兄、遅刻するよ?」
「俺今日休むから」
「え・・なんで?」
今日から二学期なのに、早々にサボる気ですか・・
「今、サボりとか思ったでしょ。」
ぎくっ!
蓮兄はまた起き上がってあたしを見る。