iNG 現在進行形の恋【濃縮版】

私はやむ無く抵抗するのを諦めて、ジーンズの後ろのポケットに入れていた携帯を取り出すと、出している会長の手の上に乗せた。

仁との思い出の写真までも捕られてしまった。

悲しくて、辛くて、悔しい……。

どれだけ私から大切なものを奪えば気が済むの……。

私は涙が出そうになるのを、奥歯を噛み締めてぐっと堪える。

「これが新しい携帯だ」

私は会長が出した携帯を無言で受け取る。

「残ったお金で新しい生活を始めると良い」

「……お金は必ずお返しします」

「変な見栄は張らない方が良い」

「……とりあえず荷物を纏めます」