iNG 現在進行形の恋【濃縮版】

でも私は何も言い返せない。
だって借金を作る親を持つ子供を、神島家に入れたくない会長の気持ちが分かってしまったから。

「これでも君は此処に居るつもりか？お金を返すことすら出来ないだろう？」

今の私の貯金は二百万。
しかも今、いくら使ったかは分からないけれどお金は更に減ってる。
八百万なんて、到底返せない。

こう言うしかない……。

「……出ていきます」

「君が聡明な子で良かったよ。さっきも言ったように、会社も辞めてもらう。仁が君を引き止めたら面倒だし、君が思い止まるかもしれないから、今すぐにアパートも出て行ってもらいたい」

「……」

「君は私を裏切っているからね。また仁に接触されたら面倒だから。あと君には携帯を変えてもらう。もう携帯は用意してある。母親以外の番号は諦めてもらう。あと警察の方には君の新しい携帯番号は伝えてある。犯人が捕まれば新しい電話に掛かってくるようにしてあるから安心したまえ。さぁ今持っている携帯を渡すんだ」

そう言って手を私に差し向けた会長。