iNG 現在進行形の恋【濃縮版】

「ちょっ!」
「抱き締められたのも初めて?」

耳元から聞こえる低い声に体の奥がゾクリとして。
私は反射的に神島仁を力一杯押した。

「わっ!」
「こういうこと簡単にするのは止めて下さい!」

私はそう叫ぶと勢いよく踵を返し、神島仁に背中を向けて走り出した。

後ろから神島仁の私を呼ぶ声が聞こえたが、振り返らずに無我夢中で走った。

そのまま電車に乗って家に帰り、一人になった時に気付いた。

私の周りに漂う神島仁の香りに。

その香りに心が落ち着かず、服を着替てお風呂に入った。

それから鞄の中を整理し始めると、朝に坂本君に借りたハンカチを見つけて、私は慌てて洗濯機に入れて回した。


私の好きな人は坂本君……


心にそう言い聞かせるが、私の心臓は暫く落ち着かなかった。