「明目ー!今、帰り?一緒に帰ろうぜ」

この声は、、

「や、山石先輩、、!?」

「もー、今日友也が置いて帰りやがってさあ」

そう言いながら、隣をあるき出す背の高い
山石 律樹先輩は、サッカー部のキャプテンで2年生。

隣の家だから、たまに一緒に帰ったりするんだけど、、
正直、うちは先輩のことが好き。

「あーあ、明日はバレンタインかあ」

「そうですね、、」

なんて急な話題なんだ。
先輩の口からバレンタインなんて、、。
気になる人でもいるのかな、
なんて。

少し寂しくなるから、こんなこと考えたくない。

「明目はさ、チョコ作ったりすんの?」

「へっ!?、、あ、ま、まあ、、はい、」

「そっかー、、」

焦った!
明日、先輩に渡そうってずっと前から決めてたから。

まさか、勘づいてる?
って、鈍感な先輩に限ってそれはないし。

「俺、本命もらえんのかな?」

もらえますよ、先輩は。
うちからだけじゃなくて、、もっとたくさん。
モテるから。

だけど、そんなこと言えなくて、、

「もらえるんじゃないですか?」

とか言って、ちょっと冷たく流してしまうのがうち。

「明目はくれないの?」

「ええ!?」

うち!?
なんでうち!??

「ねえ、くれないの?」

純粋な瞳で聞いてくる。

「、、ほ、欲しいんですか?」

「欲しいなあ」

「、、、!」

そんなに正直に言われても、、。

恥ずかしくなって視線をそらすと、小学生の女の子が
二人、楽しそうに話している。
帰り道かな?

『ねえ、明日どうする?チョコ渡す?』
『うん、、わたすよ!』

バレンタインの話かぁ。
ませてるなー。

『やっぱり手作り?』
『うん!本命チョコは手作りじゃなきゃだめだよ!』

ちょっと!
今ここでそんな話をしないでー!!

かなり気まずいから!
うちが!

先輩の方を見ると、ぼんやりと空を見上げてる。

何か、何か言わなきゃ。

「せ、」
「明目のチョコは、、手作り?」

「えっ、、、。そう、、しましょうか?」

「うん。そうして、、」

一度もこっちを見ることなく、つぶやく。

先輩、、あなたは今、何を考えて空を見上げてますか?