海岸通り 〜文治と由以香

「暑すぎてしなびてるんだろ?

俺が水ぶっかけてやろっか?

それともプールにほうり込む?」




「あはは、泳げないからお水にして↑」



文治の電話の声、大人びて聞こえる…

学校でいつも
後ろの席から包まれてるような安心感に浸っていくよ…


礼子ともこんなふうに、電話で話してるん?↓…




「 由以香? 」



「 ん? なに? 」



「 俺とつきあって? 」





??‥‥

心ん中… 真空ポット…




「俺、由以香が転校してきた時からずっと、由以香好きだったんだ…」




?…

あのいじめはなに?

由以香が嫌いだから、田舎のイモ姉ちゃんだから

いじめてたんじゃなかったの?




「俺、由以香のこと、一生大切に守ってくから…

俺とつきあって?…」







ねぇ、文治

出逢ったのも不思議

めぐり逢ったのも奇跡

魅かれあったふたりの心も、説明つかない…


悲しみの始まりだったかもしれないけど

後悔してないよ


文治と歩いた青春…幸せだった…


由以香の心は今も

あの夏をさまよってる…








「由以香のこと、力いっぱい大切に守ってくから…