海岸通り 〜文治と由以香

「 わっ! やばっ! 」



「 やばっ? 」



「俺が由以香いじめてたの知ってるよね」



「 もちろん 」



「由以香いじめた罪で俺、前科者だろ?」



「あはは、前科百犯でも足りないんじゃない?」



「まず、玄関で土下座して謝らないかんね

ほんとは由以香好きでいじめてましたって」




「 あははは 」



「んで、もういっぺん土下座して、由以香とつきあわせてくださいって頼み込むっ」




「あはは、うちのお父さんはねぇ、なんか解ってたみたい

小学生ぐらいの男の子は、好きな子に意地悪することよくあるって」




「ぇ〜?マジ? 俺の一番の理解者が由以香のお父さん?

俺、感謝せなね」




「うん、だから今度はうちに来てね?」











夕方、由以香送りながら浜に下りる


帰したくない

時間ぎりぎりまで一緒にいたい




「俺の手、殺菌消毒済み」


由以香の手取る…




わっ! やわらけぇ〜、ちっちぇ〜…


俺の手にすっぽり入りやんかぁ〜…




足の裏、きしむ砂、沈む夕陽…




「ねぇ文治、桜貝見つけたらちょうだいね」