曖昧な私に珈琲を。

悠里が食い気味に否定するとそれに傷ついたような葵の表情が伺える。

私は心の中で確信していた。

悠里を振ってから、葵に責められて、軽蔑されてから、全てが狂ったんだと強く感じていた自分を。

「うん…あたしたち付き合ってないよ…。私も、由真とずっと会ってなくて、驚いたよ」

葵がなんとか絞り出したであろう言葉を聞いて、そして今の悠里の反応を見て私は酷く安堵した。

「なーんだ。私達、あの日から案外全然変わってないね!」

止んでいた雨がその時また降り出した。

ぽつりぽつりとしてきた頃、沙羅が会計を終えて私を見つけて傘に入れてくれた。

「もう。ちょこまか動くんじゃないわよ。探したわ」

「ごめんって」

「あら、知り合い?」

「うん。この人が幼馴染の悠里で、こっちが…友達の葵」

私がやけに笑顔なのが沙羅は不思議なようで私を凝視してから「ふーん…?」と言うと沙羅

は二人を見てニコリと笑った。

「こんにちは、あたしは新城沙羅。由真とは同じ大学なの。いわゆる、なかよし同士ね」

「そうなんですね、よろしくお願いしますね。俺、これから葵家に送ったらフリーなんだけど、由真借りることって出来ますかね?」

「ご自由にどうぞ…って言いたいところだけど…悪いわね、今日はこの子調子悪いみたいだから少し付き添ってあげることにしてあげるわ」