心が見えない。
気になる。
この好奇心が、嫌いになりそうだ。
保健室のドアを開ければそこには誰もいなくて。
そうなのにも関わらず、柴崎くんは躊躇なく足を踏み入れて。
ベッドの上に私を下ろした。
「軽く手当てしておきます。」
そう言われて傷口に手を当てた。
額、少し切ってる。
おでこをすりすり撫でていると。
絆創膏を持った柴崎くんが私の前髪をあげておでこを消毒しはじめた。
近くなる距離に心臓が音を立てる。
治療するためなのは分かるけど。
流石の私もこの距離はびっくりするよ。
目は合わないのにこれはいいのかよ。
わかんないよ、柴崎くん。
「これで大丈夫だと思います。」
結局目を合わせることなく治療を終わらせた柴崎くん。
テキパキと片付けを終わらせていく。
「僕は戻るので。」
「ちょ、っとまった!」
足早に去っていこうとする柴崎くんを思わずひきとめてしまう。
やばい、なに言うか考えてない。
「なんですか、奈曽井さん。」



