ちくちく、胸が痛む。
嫌いなら、いっそのこと言ってくれた方が良いのに。
なんでこうやって親切にするのか。
ほんとう、分からない。
「柴崎くん。」
「……なんですか、奈曽井さん。」
「助けてくれてありがとう。」
「助けてませんよ。」
「いや、だから。保健室まで送ってくれて。」
「したかっただけなので。」
「……柴崎くん。」
「なんですか、奈曽井さん。」
「どこ見て話してるの?」
「前です。」
「……どうして私を見てくれないの?」
「……。」
まただんまり。
言ってくれない。
なんなの。
ばか。あほ。
柴崎くんのおたんこなす。



