コートへと足を進めている状態だった。
いかんいかん。
試合に集中しなければ。
頬をぱしんっと叩いて一喝して。
私はコートへと走っていった。
「いった、揮那!」
「はいっ、なっつん!」
唯一出来るアンダーでなっつんへとボールを繋ぐ。
なっつんのアタックは相手の子に拾われてしまって。
またラリーが続く。
「シュート決めろ!」
耳に。柴崎くんの声が入る。
やばい、試合に集中しなきゃなのに。
柴崎くんの声に引き寄せられる。
集中しろ、私。
頭をぶんぶんふっていると。
「ちょ、揮那!」
「えっ。……うわっ!!」
なっつんに呼ばれてはっとして前を向けば。
避けられない距離にボールがきていて。
そのまま顔面キャッチしてしまった。
鈍い音が体育館中に広がり、女子は小さく悲鳴を上げた。
試合に参加していた女子が私の周りに集まり。
ボールをアタックした女の子は心配そうに私の顔を覗いていた。



