身体にまとわりつくような、生ぬるい風を振り払うように、パタパタと手で仰ぐ。

梅雨が開けると、雨が少なくなったのはいいことだが、やはり、外を出歩くのが億劫でたまらない。

「はー…、おはよ。」

気だるさを落とすように、ため息をついてから教室に入ると、この前の雨の日のように、今度は黒板の前に人だかりができていた。

「おっ、セイヤさんのお出ましだ!」
「は?」
突然、群衆の中にいた奴に声をかけられて目を丸くする。

「いいから、いいから。こっち来いって。な?」

そういいながら、腕を掴んでぐいぐい引っ張っていく。暑いのに、そんな人混みに混じりたくない。いいから、と言いたいのは俺の方だ。