奏〜君に届けたくて〜

「また"例の"話?」

「はい。もうご存知でしょうけれど」

「まあね。しかし、君もよくやるよ。今まで何度この話をしたものか」

「今日も含めて3回、ですね」

ふっ。と、校長先生は笑った。


「馬鹿言うな。私は前も君の校長先生だったじゃないか」

「……たった一年ですよ」

「そのたった一年であれだけの賞をとったのはどこのどなたでしょうなあ。」

何も言い返せない。が。

「……それで。今回も」

「ええ。いつも通り、お願いします」

「分かっているよ。もう、わざわざここへ来なくても良いのに」

「手続きは確実に踏みなさいって仰ったのは、どこのどなたでしたっけ?」

「……昔の私を揚げ足取らないでくれ」

「すみませんね。つい、思い出してしまったもので」