奏〜君に届けたくて〜

「ん?だって、さっきの奏士への一撃だって、ピアノが奏士に嫉妬したんでしょう?」




…………ますます意味が分からない。

いや、違うな。

これは理解しようとしない方が賢明だ。

脳に余計な負担を掛けなくて済む。


「へぇー嫉妬ねえ。俺ってそーんなに琴葉ちゃんに馴れ馴れしくしてたっけなぁー」


わざとらしいくらいに琴葉さんに顔を近づける奏士。

「……してないし。やめて」


声は小さかったけど、琴葉さんはまた言葉を発してくれた。


「それくらいにしろ、奏士。ていうかりんね。大体、ピアノに意思なんてないんだから、好きだの嫉妬だのピアノに文句言っても……」

奏士を琴葉さんからひっぺがしながら、りんねに向かって言う。




が。