「ねえ。もっと、近くで聴きたい」
奏士に頼んでみた。
みんな、そう思ってたんだと思う。
揃って頷いてくれた。
「んじゃー、ちょっとお邪魔しますかー」
「ちょっと。そこ、開けたらすごい音するでしょ」
りんねちゃんが奏士を冷静に注意した。
さっすがりんねちゃん。こーいう時はクールな子ですなあ。
「んじゃ、どーすんだよ!」
「声が大きいよ、奏士!」
「二人とも。向こうの子に聞こえるわよ。ボリューム下げて」
「じゃあどうやってあっち行くの?りんねちゃん」
「ここ」
由羽くんが指さしたのは。
「……奥の、ドア?」
音楽準備室から直接、音楽室に繋がるドアだった。
