「え……」



嬉しい、嬉しいけど。



「私、あの時すごく酷いことしたじゃん、なのに、何で……」

奏士はふっ、と笑って言った。


「その答えが、いまここにあるじゃんよー」


いつもの、間延びした話し方。




「あんまりストレートに言葉吐くのは今でもきついからさー。こーやって少しでも柔らかくしながら、俺はずっと自分をちゃんと言葉で喋れるよーにしてきた」



それは、私のセリフに傷ついたから、じゃなくて



「ことちゃんに少しでも認めて貰いたくてさー」


あっさりと、奏士は言ってのけるけど。



「……あんな大昔のせりふ、間に受けなくだってよかったのに……」


どうしようもなく、嬉しい。


私を、忘れていなかったことが。


そーくんの中に、私がちゃんといたことが、たまらなく嬉しい。